やっぱり地震は怖い(その2)

日本人に火事場泥棒はいないと書きましたが、暫くしたら、神戸の町は「泥棒天国」になっていました。
何しろ、人のいない店舗に商品だけが転がっているのですから。

元町大丸の1階のヴィトンのショーウインドーにトラックで突っ込んだのは北海道からやってきた連中でした。
全国から悪党が神戸に集中しました。

ある時、車を運転中、不注意で、前の車に追突してしまいました。
「オイコラ!どうしくれんねん!」

若い2人が前の車から降りて凄んできました。
「すみません」

持っていた携帯で110番
「追突事故を起こしてしまいました」

警察に電話をかけているのがわかると、2人は自分たちの車に乗ってどこかへ行ってしまいました。
「事故の場所は何所ですか?」
「はあ~こちらが悪いのですが、相手が逃げてしましいました。」
「よくあることですから。」

警察もこんな事故に構っている暇はないという感じでした。
たぶん盗難車で凹んでも気にならない、その場で金を貰えればラッキー、警察だけはイヤということでしょう。

避難所の炊き出し目当ての路上生活者と泥棒が増えたのは事実です。
しかし、現場の市民やボランティアの助け合いの精神は、今回の東日本大震災でも、世界中から称賛を浴びました。
殆どの日本人は整然とお互い助け合いました。
ヤクザでさえ?「義理と人情」日本ヤクザとして神戸地盤の山口組の復興支援は有名な話です。
国会議員だった石原慎太郎が「首長(貝原兵庫県知事)は山口組組長の爪の垢を煎じて飲め。」とか言ったとか?
 
トラウマというか、神戸の震災のお陰で臆病な私は完全な地震恐怖症です。
(大きな余震がくると自分の心臓の鼓動が聞こえます、揺れ出すと当時を思い出すので、自分の身体を自分で揺らします。)

「地震恐怖症なのに何で湾岸のタワーマンションに住んでいるの?液状化は怖くないの?」とよく聞かれます。
「命あっての物種と言うでしょう。神戸の湾岸埋立地(六甲アイランド・ポートアイランド)の液状化は凄かったけど、湾岸のタワーマンションは立派(?)に立っていました。」

高層ビル等の耐震構造建築物は、揺れることによって地震のエネルギーを吸収するらしく、南北に揺れた阪神大震災では、南北に細長い建物は、エネルギーの逃げ場がなく、多くが倒壊しました。
南北に長い有名な建物では、災害時避難場所になったりする公共の建物である神戸市役所です。
6階部分(水道局)が崩落しなくなったことは、その後の水道復旧に大きく影響しました。
地震になると埋立地はヤバイとよく言われますが、私は地震が怖くてタワーマンションにしました。
但し、耐震であれば上層階は揺れが大きく怖いですし、インフラ回復が遅れれば、「神戸のように水を毎日階段で」腰を痛めないよう、

高層マンションの低層階がお薦めです。
 
神戸で私の住んでいた(借家で当日避難しましたが)マンションは、少し傾いた(?)らしく、一か月後位に「全壊証明書」を貰いました。
火災保険等では柱1本残っていると、全焼でなく半焼とよく聞きます、「何で?」真偽の程はともかく、
住民の話では、最上階のペントハウスに住んでいる、有名なN生協の理事長の「政治力のお陰」だそうです。
その後ジャッキでマンションを持ち上げ、柱部分の鉄筋とコンクリートを打ち直したようです。

この始めて知った「全壊証明書」なるものの効力がもの凄い! 黄門様の印籠ぐらい(笑)

見舞金なるものが、全壊・半壊・一部損壊で全く額が違います、
国や会社は兎も角、地元の住吉学園から20万円貰った時はびっくりしました。

まず昨年払った税金が全額還付されましたし、その年の税金もかかりませんので給料の手取りが増えました。
税務署には災害時の被害額算定方式があるみたいで、例えば1000万所得がある人は2000万の家財があり、
全壊で2000万の損失で「給料貰っても2年間は所得なし」こんな感じです。

会社・国・地方自治体等から多くの見舞金を頂きました。
家財といっても結婚して約8年そろそろ買い替え時期、焼け太りではないですが、正直こんなに貰っていいのって感じでした。

借家でこうなのですから、持ち家の人は必死です。
役人が見て「全壊」「半壊」等のお札を貼って廻るらしく、あちこちでトラブル多発のようでした。
当時地震保険に入っている人などは殆どなく、見舞金の600万(たしか持ち家で全壊の人は国から)では、立て直しはとうてい無理です。

震災後数日してから燃え出す建物が続出、近所の住吉駅前のビルも4日後に出火、不思議でした。
うがった見方かもしれませんが、「火災保険で」と考えた人がいたかもしれません。
実際テレビで「地震が要因の火災であっても、火災保険金は支払われることはありません。」何度も流れていました。
その放火で亡くなった人がいたのかと、考えさせられます。

このような社会を揺るがす大災害の時は、いちいち調べる時間もないので申請(文句を言う)すれば、だいたい認可されたようです。
今回の東日本大震災でも、地震保険に入っていれば、棚から湯呑が落ちて割れただけでも、申請すれば「一部損壊」で50万程保険金が貰えたようです。
私も事務所の棚からポットが落ちて少し欠けたのですが、保険に入っていませんでした。

地震保険は必ず入りましょう。
地震は忘れたころにやって来る。
備えあれば患いなし!