毎年納める消費税は、「預かった消費税(売上等)」から「支払った消費税(仕入れ等)」を差引いて計算するのが基本です。

この計算には「原則課税」と「簡易課税」という2つの方法があります。

原則課税は、シンプルに「預った消費税」から「支払った消費税」を差引いて計算する方法です。

簡易課税は売上高だけから納付税額を計算する制度です。
これは「支払った消費税」の計算を、「預った消費税」に一定率(みなし仕入率)を掛けて算出した額を「支払った消費税」とみなし、簡便的に計算する方法です。

基準期間(前々事業年度)課税売上高が5,000万円以下の中小事業者の事務負担への配慮から設けられている措置であり、その選択したい課税期間開始日の前日(設立事業年度又は事業開始年の場合にはその事業年度又はその年の末日)までに「簡易課税制度選択届出書」を提出する必要があります。

一旦簡易課税制度を選択したら、2年間は必ず適用しなければなりません。
事業の種類ごとに、仕入高の売上高に通常占める割合を勘案して定められており、自分の会社の実績と業種の仕入率を比較し判断する必要があります。

つまり、基準期間の課税売上高が5,000万円以下であれば、消費税の計算は慎重に選択(どちらか得か検討)しなければならないということです。

具体例をあげてみましょう。

例えばサービス業の場合、簡易課税のみなし仕入率は50%です。
預った消費税のうち、半分を支払った消費税となるので、残り半分を納税することになります。

もし給与が売上の60%を占めているとしたとき、給与は消費税がかからない取引(不課税取引)ですので、特に固定資産の購入もなければ、のこり40%の中に支払った消費税が含まれていることになります。

ここで原則課税で納税額を計算すれば、「預った消費税」から控除できる「支払った消費税」は4割以下の金額です。
簡易課税では半分を「支払った消費税」とできるため、簡易課税を選択したほうがお得となるわけです。

逆に大きな設備投資をしようとするときは、建物の建設や機械等の購入には消費税がかかります。
原則課税で計算すれば消費税が還付になる場合でも、もし簡易課税を選択していれば、実際に支払った消費税は全く無視し、預かった消費税からのみ計算しますので、還付は受けられませんので、損をしてしまうわけです。

創業間もない企業にとって、消費税の支払いは業績に関係なくやってきますので、非常に大変です。キャシュフローには充分気を付けてください。資本金1,000万円以下の原則2期消費税免除と合わせて考えてください。

2019年10月からは8%から10%に消費税率が改定される予定で、更に負担がのしかかります。

消費税を賢く納税するためにも、将来(最低でも2年)の事業計画や売上や経費の見込み等をたてて慎重に判断していきましょう。

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