さてどうする(その2)
「社長、仮にこのまま相場が上がるとして、バブルで上手く立ち回わるには、どうしたらいいのですか?」
「反面教師にするつもりだろう(笑)。僕の知る限りでは、上手く立ち回れた人は皆無で、それは不可能に近いね(笑)。しかし、失敗談を聞いて反面教師にすることは大事だよ。」
「80年代のバブルの再来は無理としても、少しでも儲けたいじゃないですか、失敗談でも何でも教えてください。」
「当時と今では、上がる商品とタイミングがだいぶ違ってくると思うね、当時は不動産と株はほぼ同様な動きに、そこから、ゴルフの会員権やリゾート物件等、面白いエピソードとしては、’90年にホンダがNSXというスポーツカーを販売したのだけど、1週間で3年先までの予約になり受付終了、中古価格が新車価格を大幅に上回ったのには驚いたね。欲しかったけど、悔しい(笑)。」
「勉強になります(笑)。確かに今は株が先行し、漸くマンション価格も上がり出した感じですかね、ゴルフ会員権やリゾート物件はまだ休眠中ですね。オフィスの賃貸価格も少し動き出したと今日の日経新聞に出ていました。」
「賃貸物件と言えば、弊社の入っているこの新槇町ビルは当時日本一の家賃だったと聞いたよ、まだ丸ビルや新丸ビルがなく、第一勧銀が坪10万近くで借りていたらしいね。」
「丸ビル等でも今、坪4~5万でしょう、30年近く前に今の倍近くですか、ほんとバブってましたね。」
「バブルの定義が異常値であれば、現時点ではまだまだバブルではないね、当時『土地神話』というのがあってね、国土の狭い日本の土地は上がり続けると誰もが思っていてね、銀行も土地が担保であれば、幾らでも金を貸し、そこからの収益性は全く無視、上がれば、担保力が増しどんどん追加融資するという構図だったんだよ。」
「そう考えれば、まだ不動産利回りは預貯金金利よりだいぶ高いですね。」
「まあ、預貯金金利が異常値なんだけどね、異常値も20年以上続くと正常値なんだよね(笑)。」
「マンションは外人がかなり買っているらしいですね。」
「そう、僕が引っ越したとこも、2割ぐらい外人だね、でも投資ではなく、実際住んでいるからね、港区の白金や麻布ではマンション1棟丸ごと買いに来ているようだよ。」
「いつの間にか、世界的に見れば東京の不動産は割安なのですね。アジアの中でもシンガポールや香港と比べると超割安ですからね。」
「20年間静かだった日本以外、世界の不動産は10倍にはなったね、7~8年前ダイビングで泊まったバリ島の高級ビラ、100㎡あってプール付き、300万と聞いて『安いな』と少し考えた、買っときゃ、今3000万以上、残念。」
「勉強になります(笑)。でも住んでなかったら、なかなか手が出ないですよね。」
「慰めてくれてありがとう(笑)、言いたかったのはそこだよ、バブルの時大金持ちになった人は不動産を売却出来た人、でも自宅だとそれがなかなか出来ない、売って何処に住むの?買換えれば同じこと、賃貸の値段も上がっている。結局、強制収用や地上げに応じた人が儲かった。投資家は売却しても、値ごろ感で又投資、結局やられた(笑)。」
「住んでいても、住んでいなくても難しい(笑)。運ですか(笑)。」
「若いサラリーマンが1番投資しているのがローン組んで、住んでいる自宅、投資と思って買ってはいないだろうが、仮に買値の2倍になったらどうする?子供の学校は?奥さんはどう言うか?まあ~売却して田舎暮らしが1番いいと思うよ(笑)。僕だったら、田舎に山小屋を建てて、マタギになるね、離婚されるだろうけどね(笑)。」
「田舎暮らしがブームらしいですよ、NHKの朝ドラ『まれ』も北陸の輪島が舞台ですね。」
「輪島といえば、こないだ、新聞で外人が日本の伝統工芸品を爆買いしてるという記事を見て、輪島塗等の伝統工芸品がもしかしたらバブルかなと少し思ったね、昔、茶道をやっているお客様が、バブルの頃、『お茶の道具が1番儲かる。』と言っていたのを思いだしたよ、茶道具は家元が価格操縦していたという噂だけどね(笑)。鯉や盆栽も非常に上がったね。」
「浮世絵のように外国人が買い漁るのですかね?」
「ハイテク商品はダメになっても、デジタルでは作れない日本の職人技が世界を席巻するかも?すし職人は世界中で求人あまたらしく、このあいだ築地の寿司屋で聞いたんだけど、年棒1000万以上で世界中で引く手あまたと言ってたよ。世界中いたる所に寿司レストランが出来、何処も大盛況だよ。僕も寿司アカデミーに通おうかな(笑)。」
「外人から見たら、日本はカッコいいみたいですね、まさにクールジャパンですね。」
「ハイテク商品ではなく、日本の文化や習慣が世界を席巻する時代が目の前に来てると思うよね、円安で観光客が増え、東京オリンピックの決定で一段と加速される感じだね。今まで成長の中心東南アジア等に向いていた目が、違った意味で日本に向いてきたね、弊社にも『日本で起業するにはどうしたらいいのか?』といった問い合わせが増えてきているよ。」
「この前、四国に行った時、若くて綺麗な白人女性が1人でお遍路巡礼しているのに驚き、暫くついていきました。煩悩いっぱいですみません(笑)。」
「話をもとに戻すと、世界の目が東京に向かい出したことで、これから不動産価格が大きく上がる可能性が出てきたんじゃない、都市力の比較になるだろうね、東京は今の価格から倍以上のノリシロがあるね、デベも売れるかどうか心配しながらサラリーマン相手のマンションでなく、世界のセレブが買いたくなるような物を作れば直ぐに完売するよ。今立てている東京駅横の鉄鋼ビルには、120室の高級アパートメントが出来るみたいだよ。賃貸らしいけど。」
「ますます手が届かなくなりますね(涙)、世界のセレブが相手じゃ上手く立ち回れないですね(笑)。東京以外では京都のマンションが高騰しているのはまさに『日本文化』ですよね。」
「二極化で唸るほど持っているセレブがどの都市を選ぶのかだよ、日本もドバイやシンガポールの様な都市開発をすべきだね、旅行の口コミサイトで東京は世界1になったが、住みたい都市ランキングで上位を目指すべきだね。」
「30年前のバブルは日本が自分で作った、今度もしバブルが来るのなら、外人の力なのですね、だから外人の目が必要なのですね。」
「わかってるじゃない(笑)、特に不動産は、例えばアジアに家を持とうとすれば、香港?シンガポール?東京?京都?・・・値段は?・・・都市力だね。通貨はドルで考えるのだよ、AIIBは資金流出が止まらない中国が、自らの資金調達ないし『元』をドルに対抗出来る基軸通貨にしたいとの思惑だという意見もあるのだよ。」
「なるほど、それで日本を入れなきゃ格付が上がらないのですり寄ってきているのですね(笑)。」
「日本のマンション価格はもう既にバブルだという人がいますが、ここ十数年、日本国内の価格だけで見ているので、そう見えるのだと思います、暫くは価格のさや寄せが続くのでしょう。」