解雇のルールが変わる!?
先般、解雇のルールを変える検討がされているという報道がありました。
現在、日本の解雇ルールは以下の4つの要件があります。
① 解雇の必要性
→ 解雇を行うには、労働者に特段の責められるべき理由がないのに、使用者の都合により一方的になされるものであることから、必要性の判断には慎重を期すことが求められます。
② 解雇回避努力義務の履行
→ 解雇は最後の選択手段であるため、役員報酬の削減、新規採用の抑制、希望退職者の募集、配置転換、出向等によって、整理解雇を回避するための相当の経営努力がなされ、整理解雇に着手することがやむを得ないと判断される必要があります
何も努力しないで解雇は、当然NGとなります。
③ 解雇者選定の合理性
→ 人選基準が合理的であり、あわせて、具体的人選も合理的かつ公平でなければならないことが求められます、好き嫌いでとういのはダメです。
④ 手続きの妥当性
→ 解雇に当たって、手続の妥当性が非常に重視されています。説明・協議、納得を得るための手順を踏んでいない解雇は、他の要件を満たす場合であっても無効とされるケースもあります。
上記はあくまでも原則なので、判例によっては、企業の合理的運営上やむを得ない必要性があれば足りるとして、要件の一部が欠けていても認められることもあります。
また解雇が認められなければ、会社は継続して雇用することとなります。
今回はこれに、「金銭解決」という制度を導入しようというものです。
またこの新制度は「事後型の金銭解決」と呼ばれています。
背景として、現状では裁判で不当解雇と認めても判決では職場復帰しか命じられず、労働者側が金銭の補償を受けるには判決後に改めて和解や賠償請求の手続きが必要となります。
今回は、労働者側の希望に応じて裁判官が不当解雇に関する解決金を支払うよう企業に命じられるようにできることから、制度があれば解決金の目安ができ、企業(特に中小企業)の解雇で労働者がわずかな金銭補償しか受けられず泣き寝入りを迫られる事態を防ごうというものです。企業にとっても、一定の解決金を払えばいったん解雇した労働者を再び雇わなくてよいということにもなります。
この考えはアメリカやイギリス、ドイツでは制度として運用されていて、先進国でも運用ができていないのは日本と韓国だけのようです。
金銭解決ができれば、解雇された労働者は収入の確保が約束されるので会社に在籍する必要がなくなり、会社はコストを削減できるのでメリットはあるかもしれません。しかし、この金銭解決の額が大企業ならともかく、中小企業にとって払える金額になるのかが今後の課題となるところです。やはり解雇自体は双方に痛みを伴うものですので、できれば避けたいものですよね。