起業家時代の到来(その1)

<起業家時代の到来>(その1)

以下の文章でのアメリカでの状況は、私がこの仕事をやろうと思ったきっかけになったダニエル・ピンク著「フリーエージェント社会の到来」からのコピペ(笑)です。

アメリカでは4人に1人がフリーエージェント(企業に属さない)と言われています。
かつてはアメリカでも「悪くない給料とそこそこの家を与えてくれる仕事に就こうとする」いわゆる「組織人」が主流派でした。

組織に忠実であれば、組織は定収入と雇用の安定、個人に忠実であってくれました。
これが正しい生き方だと考えられていました。

GEやGM、コダック等、社員と会社が都市を形成し家族でありました。
親子で働く人たちも沢山いました。
フォーチュン誌の企業上位500社リストは、アメリカの繁栄のシンボルになっていました。
リストに名を連ねる巨大企業が膨大な雇用を生み出していました。

ところが、そういった社会基盤を崩壊させたのは日本企業でした。
1980年代半ばから1990年代に入ると、従業員の大量解雇が始まりました。

1度に何万人単位でのリストラが行われました。
家族を家から放り出したのです。
日本の自動車やエレクトロニクス企業の発展がアメリカの社会基盤の変化をもたらしたのです。

日本の電化製品を叩き割るニュースが連日報道されていました。
今、その日本企業、戦後の経済発展を担った家電御三家(ソニー・パナソニック・シャープ)が、大量リストラを始めました。
因果応報とでもいうのでしょうか、彼ら苦しめているのは、中国のマーケットに上手く乗ることが出来た、サムスン(韓国)や鴻海(台湾)や中国企業そのものです。

10年少し前まではそれらの企業は日本企業の足元にも及ばない程度でしたが、今や日本企業が束になっても、その1社の売上・利益に及びません。
アベノミクスや円安で一息入れていますが、これだけ差をつけられると失地回復は難しいと私は思います。

私が証券会社でM&Aの仕事をしていたころ、日本の電気メーカーの代理人として台湾を訪れた時など、彼らの歓待振りは凄まじいものがありました。
彼らにとって日本企業と手を組めることはまさしく、生き残ることを意味していました。

それから少しずつ変化してきました、彼ら(台湾・香港)が日本にやって来るようになりました。
「ユニクロの柳井さんは株を売るかな?」というのもありました。

「丁度成長の踊場で「社長職も辞したし、売ると思いますよ。
でも株価(当時8000円程)はもっと下がるのではないでしょうか。」
何ともバカな答えをしました。

彼らは、日本の技術や商品が欲しいのです。
ターゲットは中国本土です。
「我々は中国本土(彼らはこう呼びます)に人脈・血脈があります。日本の技術力と商品を合わせれば成功間違いなしです。」

まだ中国を人件費の安い工場と見ていた日本企業とは明らかに違いました。
「中国で作り世界で売る」という発想で「中国で作り中国で売る」という発想は余りありませんでした。

早くから中国市場に目をつけ進出した企業も多くありましたが、そのほとんどが失敗や撤退を繰り返していました。

法的問題や賄賂(裁判もワイロ次第)で商標権や現地工場を合弁(合作)相手に盗られました。
彼ら(台湾・香港)の中国人に対する話は面白く「中国人は中国人を信用していない。信用しているのは、日本人と日本の商品。」

日本の模倣商品だらけで、正露丸やお菓子のポッキーなどは何十種類もあるそうで、例えば中国でポッキーを真似て作ったものが、50円とすると日本の会社が中国で作れば200円、日本から輸入したものは300円で売れるとのことです。

ある日、部下の中国人が台湾企業に「約束を守らないのは中国人と一緒ですね。」と言ったらしく、台湾企業の人たちがブチ切れ謝罪を求めてきたので、
「中国人が言ったのなら、問題ないじゃない。」
「一向に収まらないので部長から謝罪してください。」
結局メールで謝罪(書いたのは部下のその中国人でしたが・・・笑)。

多くの日本企業を彼らと回りました。
特に香港の企業は、社長(英国人)自らプレゼン、
「当社は中国共産党の資本が入っており、親会社は胡錦濤の弟(?)が役員です!」
(中国でビジネスをされたことがある方は経験あると思いますが、殆どの人が国家主席の親戚(笑)、この会社は株式を上場しており事実です)
・・・気合十分でした。

共産主義の国と違って、一応資本主義であり、契約書を交わせるビジネスなのですが、日本の大企業は当時はプライドが高く、純血主義、単独進出したい(マジョリティを取りたい等)。
私の力不足もあり成約出来ませんでした。
某衣料メーカーは契約しておれば、その後の倒産は無かったのではないかな~。

とにかくアメリカ並のマーケットが一つ誕生したわけで、同じアジアにありながら、なお且つ「日本大好き」の中国(尖閣問題で今は知りませんが、当時はそうでした。私も中国女性は好きです「我是好你」)で韓国や台湾の後塵を拝したのは今思えば残念です。
特に日本のお家芸とも思える携帯電話の世界シェアが取れないのは致命的のような気がします。

敗因はデジタル化だと言われていますが、確かにソニーのパソコンは1年で壊れるという都市伝説は私が買ったVAIOで証明されました。
作っているのはタイの工場で、日本の職人技など必要ありません。

(以下、次号「その2」に続きます。)